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日本の小売り巨頭は、中国市場で生き残れるのか?イトーヨーカドー編

2019.04.3
Category: 執筆記事
執筆者/編集担当者: nakajima

 

はじめに

 
今回はイトーヨーカドー(以下IYと表記)
について見ていきます。
1996年、商務部の批准を経た、
日中合弁会社、成都伊藤洋華堂有限公司が
設立されました。
 
青島永旺と同じく、
当時の国家プロジェクトです。
翌1997年には、
北京に華糖洋華堂商業が設立されます。
出店は、1997年の春煕店、翌1998年、
北京の十里堡店と続きました。
 
 
 

イトーヨーカドーの中国戦略の成功と失敗、新時代への対応

 

1. 出店エリアを絞る戦略

 
結局今でも、出店エリアは、
この2地区にとどまっています。
1990年代、日本の総合スーパーは
小売業の主役として繁栄していました。
中でもIYは抜群の高収益で、
一目置かれていたものです。
 
したがって、その中国戦略は注目の的でした。
IYは、香港と上海に商品調達の事務所を
開設していましたが、
実質的に主導をしたのは、
当時IYと提携関係にあった伊藤忠商事でした。
北京、成都どちらの運営会社の株主にも名を
連ねています。
 
戦略は、カルフールや、ウォルマートのように、
沿海部の大都市に次々と出店するアプローチは
取らず、1地区で数店舗を出店して、
そこでの知名度獲得を優先するものでした。
その結果、数ある候補から選ばれたのは、
当時、上海に比べ小売業の近代化が
遅れていた首都・北京と、内陸の成都でした。
 
 

2. 成都は大成功、北京は失敗

 
北京の1号店は、多層階の百貨店タイプ、
それも食品以外は、
テナントをソーシングしたものでした。
さらに食品スーパーも出店します。
 
それは形が変則で通路も狭く、
これもまたシステマチックな日本IYの
印象にそぐわないものでした。
ともに日本では見かけない、
中国市場用のオリジナル仕様のようでした。
 
しかしどちらのタイプも、
北京では新味を打ち出せませんでした。
異なるタイプの出店は、
イメージの形成を阻害します。
2006年を最後に出店は止まり、
逆に閉鎖が始まります、
現在は2店舗を残すのみです。
 
これに対し成都では、
新しい風を持ち込むことに成功します。
在来の王府井百貨店や茂華百貨店とも、
カルフールやウォルマートとも違う、
おしゃれで最先端の大型店として、
確固たる地位を築いたのです。
 
それを成都IYは「地域密着」と
「地域リード」と称しています。
それぞれ「安心・安全の食材」
「何か新しい商品に巡り合える」ことを
指します。
 
春煕店に続く双楠店、錦華店、
建設店の4店舗は、2011年ころには、
そのまま日本を含むIY全店での
売上げ1~4位を占めた、と語られました。
本当のところはわかりませんが、
 
すでに凋落の道をたどっていた日本店舗とは
対照的に、巨大なパワーを保っていたのは
間違いありません。
 
さらに2008年5月の四川大地震でも、
素早い営業再開で名を上げています。
現在は、今年1月開店の8万平米の
「緑地468店」を加え、
8店舗体制となりました。
 
 

3. 新時代への対応

 
次に、OMOへの対応を見てみましょう。
成都IYは2009年、ネットスーパーアプリ
「伊藤網絡超市」をアップロードしています。
ただしこれは、当日配送または翌日配送といった
のんびりしたものでした。
 
2017年末、これを廃止し、
新しい「伊藤電商」に切替えます。
さらに2018年8月末にバージョンアップし、
「伊藤電商」「伊藤到家」「伊藤跨境」の
3部構成となりました。
 
伊藤電商は、企業アカウントを
取得した中小企業に対し、
通販プラットフォームを提供します。
伊藤到家は、IY店舗周辺3キロ圏に対し、
2時間以内の宅配を行います。
 
伊藤跨境は、日本商品に
特化した越境Eコマースです。
日本IYの優れた商品や、
特色ある日系ブランド商品を提供していきます。
子会社の伊藤洋華堂電子商務有限公司が担当し、
目標は売上100億円です。
 
出店戦略は人口1400万の成都、
同じく8000万の四川省に絞り、
大型店と食品スーパーを展開、
20店舗にするということです。
 
 

4. 役割は終了?

 
IYの中国進出は、20数年を経て、
四川省に特化した小売業、
という形に落ち着きました。
今後は、伊藤電商の行き末に注目です。
 
伊藤到家の2時間配送は、
盒馬鮮生、京東到家、毎日優鮮など
最先端企業の30分~1時間に比べ、
まだのんびりしています。
 
しかたなく追加したサービスという感は
否めません。
伊藤電商、伊藤跨境も非常に
ローカライズされたものに留まります。
ただし、アリババ、京東など総合大手に比べ、
そうした専門性が使いやすい、
という評価を得る可能性はありそうです。
 
 
 

まとめ

 
イオン、IYとも、地方政府に請われ、
国務院の批准を得た、
いわば官製プロジェクトとして
スタートしました。
 
小売業の近代化をリードしてほしいという
中国側の期待には応えられたのでしょうか。
イオン青島東部店やIY双楠店が、
日本を含むナンバーワン店舗にまで
成長したことは、双方にとって大いに意味のある
結果だったでしょう。
 
そして今、日系小売り巨頭は、
新しい風を起こす役割は終え、
最新の中国スタイルを後追いしています。
当面は生き残るとしても、
20年後にはどうなっているかわかりません。
ここ2~3年の対応が、
未来を決することになりそうです。
 
 
参照
http://www.ebrun.com/20180904/295623.shtml
http://news.winshang.com/html/061/3860.html
http://www.soupu.com/news/707836
 
 
 

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